ネガ読み/ポジ読み

物語の読み方にはネガティブな読み方とポジティブな読み方の2種類があって、少なくとも一読目は後者の作法で読む方が作品をより楽しめるだろうな、と考えている。例えば、作中に次のようなセンテンスがあったとしよう。

二人が向かった先は地元で有名なスーパーに足を踏み入れた。

これを読んで「文章が破綻してるよ〜><」と思うのが最も典型的なネガティブ読み。「自分なら単純に『二人が向かった先は地元で有名なスーパーだった』って書くかなー」と提案するのは建設的ではあるけれど、やっぱりネガティブ。「文章の破綻」という認識ありきの読み方なので。「意味は通じるから問題ない」と読み流すのは世渡り上手ではあるけれど、同じ理由でこれもネガティブ。
ポジティブな読み手はこう考える――この文章は破綻などしていない。その前提を起点として、こう考える――そうだ、そもそもこの作品は1000年後の日本を描いた物語だったじゃないか。1000年といえば「春はあけぼの やうやう白くなりゆく山ぎは」が「春のアレってマジヤバくね? 白くね?」に変化するほどの年月だ。もう1000年経てばこれが「私が好きなのは春の明け方の山はだんだん白くなっていった」になるのも道理。つまり、これは1000年後の文法では正しいとされる文章なんだよ!!

Ω ΩΩ<な、なんだってー