鯨統一郎「新・世界の七不思議」(創元推理文庫)*4

連作短編歴史ミステリ7編。おなじみの宮田六郎がストーンヘンジやピラミッドなど古代史の謎を解きまくる。前回の日本史編と比較すると、今回の世界史編は少し勢いが弱め。定説を打ち破る形式の前作と比較して、今度はそもそも定説の存在しないテーマなので何でもアリだという点がひとつ。それから、構成の変更も大きい。前作は倒叙気味の構成が痛快だったのに、今作は宮田が古代世界史に明るくないという設定のせいで展開がダラダラしている。読者への配慮なのかもしれないけれど、学研の科学とかムーの読者だった私には前提知識の解説が退屈で退屈で。
――と、ダメっぽい感想を書いているけれど、でもやっぱり素敵小説には違いないのです。テーマごとに日本との繋がりを示唆するのはいかにも無理矢理とはいえ、あのラストのための伏線だと思えば飲み込めます。