北村薫(編)「謎のギャラリー こわい部屋」(新潮文庫)*5

怪談アンソロジー。掌編から中編まで全18編。南伸坊のコミカルな漫画で幕を開き乙一のデビュー作で締め括る構成。古今東西の作品が収められていて多種多様な「こわさ」が味わえる。個人的な推薦作は樹下太郎「やさしいお願い」*1かな……や、それより編者の読書量の方が怖いかも。円紫さんシリーズにおける「私」の読書傾向からも感じたのだけれど、北村薫は(書く方では人情味のある柔らかな作品が多いのに)読む方では剥き出しのカミソリみたいな作品を好んでいるような気がする。

*1:僅か数ページの掌編ながら、最後の1行で背筋が凍る。ぞっとするのではなく、優しく凍る感じ。