「躑躅」を「蟷螂」と見間違えてしまうくらいに日本語力のないボクだけれど

リーマンさんの日記*1で引かれていた鏡花の文章には当然のように感じ入ってしまった。案内されるままに青空文庫へ飛んでみて*2、うへぇ冒頭から凄いわこれ、と。読点を連ねた一文が句点に達した瞬間、青空と陽光と、緑と赤と白と、埃混じりの温風と、追憶と――まあ、そんな多少の勘違いを交えたファンタジックでノスタルジックなのに恐ろしくビビッドなシーンが浮かんでくる。「言葉が閉じる→情景が開ける」という完成形。
ただ、こうした情感はそもそも文語の特権で、現代口語にはどう転んでも無理なんじゃないかという気もする。実際、少ない読書経験の中から印象深かった口語のフレーズを抽出してみると、言葉の美しさ以上にロジカルなインパクトを備えているものが多い感じ。口語で、情景が、ということになると何となく文月さんの「MiYuKi」が連想されたりして「結局SSかー>自分」と思うのだけれど、やっぱり他にはなかなか浮かばない。