鯨統一郎「なみだ研究所へようこそ!」(NON NOVEL)*9

連作短編ミステリ8編。伝説のサイコセラピスト探偵が、その神懸った洞察力で奇妙な依頼を次々と解決――と、びっくりするほど謎は恣意的で謎解きは牽強付会、そのうえ描写は御都合主義だけれど、それがなぜか爽快に思えてくる。ときどき作中人物であることに自覚的であるかのような描写が挿入される主人公も含めて、以前「古畑任三郎」を観たときに似た不思議な魅力を感じてしまった。
――とまれ、キャラクター*1に惹かれて読んだにしては割と傑作っぽい印象*2

*1:童顔幼児体型天然天才探偵とクール&ビューティーでもやっぱり天然な秘書会計士

*2:私が極度の「人の死なないミステリ好き」であるという事実を差し引く必要はあるけれど。