創作に対する感想・批評の起承転結

読み手と書き手、双方に嬉しい構造を妄想してみる:

  1. 作品の要約【起】
  2. 褒める(賞賛)【承】
  3. 気になった点など【転】
  4. 褒める(期待)【結】

まず、1。作品をどのように読み取ってこのコメントを書いているのか、前提をまとめておく。これは「本当に読んだぞ」という証拠になり、2〜4に続く感想・批評の説得力を増す。同時に、万一誤読をしていた場合に議論が噛み合わなくなるのを防ぐ意味合いもあるので割と重要。
また、2と4の「褒める」で3の「貶す*1」を挟んで、なるべく受け手を凹ませないように。凹んだ人々は疑心暗鬼に陥りがちであり、双方にとって損失となる。「口で貶して心で褒める」は素敵なスタンスだけれど、ごく親しい間柄でしか通用しない。
2〜3は可能な限り具体的に書く。漠然としたコメントは真意を伝達できないだけでなく、人格否定の印象を与えてしまう恐れもある。抽象的な言葉しか浮かばないなら、それは作品が取るに足らないものであるか、自分の読み込みが足りないかのどちらか。
最後に、4で総括的に次作への期待を表明する。2が主体の感想・批評となる優良作にしても、3の目立つ問題作にしても、それらの内容をふまえれば自然にコメントがまとまるはず。受け手の創作意欲を刺激するためにも、2〜3と異なり結びでは不必要に具体的な記述を避ける。

読者側の意見を最大限に伝えると同時に、作者側が気持ち良く聞ける感想を書くための方法論ですね【起】。最初に要約を、というのは会議などにおける質疑・応答のマニュアルにも通じる原則で、なるほどと唸らされました【承】。しかし、これほど面倒なやり方を日常的に実践できる人物が存在するとはとても信じられませんし、具体性を求めることで過度に分析的な感想になってしまうのではないかという危惧も拭えません【転】。この提案が発展してもう少し現実味のあるものになったなら、ぜひ使ってみたいと思います【結】。

……我ながらつまんねーコメントだな。似非理屈屋というか、日和見主義というか。情熱を感じない。なぜ「良い!!」の一言が書けないんだろう。以前は書けたのに。

*1:やまぐうさんにツッコミをいただいた。確かにこれは語弊がありまくる(「褒める」の対義語を使いたいあまり「貶す」なんて書いてしまったけれど、これはつまり「気になった点など」でした)。あと、前段の「要約」は競作企画など気の抜けた感想の群れに埋もれてしまいかねない場でこそ有効な要素。メールや掲示板で個人的に感想を送る場合はきちんと作品を読んでいるに決まっているので不要といえば不要だけれど、書き手の立場としては自作の「面白い読み方」を知れる機会でもあるのでちょっと欲しい――と、私は思う。あ、でも「本文を引用」も嬉しいな。自分が素敵なセンテンスを物せた、ということだと信じられるなら(2005-07-16)。