ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「たったひとつの冴えたやりかた」(ハヤカワ文庫SF)*7

連作中編SF3編。シチュエーションや挿絵がジュヴナイルっぽいので冒険活劇のつもりで読み始めたものの、3編ともそれを超越したところへ話が進んでいく。予定調和な大団円を愛する読者としては若干がっかり。最終編の「衝突」は異星人との邂逅をテーマにしている割に、片言の通訳が登場する辺りが「何故か日本語が通じる」ファンタジーほど軟派でもなく、とはいえアシモフの「神々自身」やセーガンの「コンタクト」ほど硬派でもなく、いかにも中途半端な印象。……や、面白かったから良いのだけれど。