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私の前にある。2番出口がある。馴染みでない図書館へ赴く。地下鉄を乗り継ぐ。乗り継ぐ。風が痛い。この建物はいつもの図書館より少しエントランスが広かった。入り口をくぐって、階段を昇る。私は、階段を駆け昇る私を見る。入り口が分からない。吹き抜ける風が緑から黒に変わる。吹き抜けるのを止めて、吹き付けるようになる。そして、彼は本と本の間にその本を発見する。私は左へ曲
基本的に売れないので本屋にないのは想定内ですけど、図書館にないのはかなりの問題ですね。文化的損失ですよ。
がる。私は左へ曲がる。壁の向こう側に入り口が半分顔を出す。私は入り口をくぐって、螺旋階段を昇る。本の壁だ。私は左へ旋回する。旋回する。1階、2階、螺旋階段の径が狭くなっていくのだ。カンカンカンと金属を叩く足が鳴る。角運動量保存則があるから、私は速まる。紙の焼ける匂いがする。私は速まる、第2宇宙速度を超えた。2番出口から射出された、私は彼が盗み出した本を手に取る。検索したのだ。今日の図書館は本当に
映像になるよ派の方々はこの小説も映像になるのかどうか試してもらいたいくらいなのだが、それはともかく、これは音の小説であると思った。
四角形の建物で、ガラス張りの壁の内側には牧草の平面がある。外側は本の壁だ。直方体から湧き出す水の中を私は泳いでいる。遅いよ、遅いよ。流れる水がどんどん固まっていったから、私と彼の足は跳ねたり踊ったりした。背表紙の壁が見える。アレナス。アレナス。本の背をなぞるたび指が一本ずつもげていく私は「はらたいらに3000点」探す。人刺し指に圧
――と、思わず末期的な日記を書いてしまったほど、これは手強い。夜明け前のセレスティーノ (文学の冒険シリーズ)。1時間以上読み続けたけれど、まだ序盤。とはいえ、半年前のリーマンさんの疑問:映像になるよ派の方々はこの小説も映像になるのかどうか*1に対する回答は既に「見えた」んじゃないかと思う。ただ、見えた映像をちょっと言葉にできないので、それは後で書きます。とにもかくにも、件の「アチャス、アチャス」までは読み進めなくては……!

*1:id:tokumeiman:20060709:p1