宮部みゆき「パーフェクト・ブルー」(創元推理文庫)*5

ミステリ長編。とにもかくにも、語り手が「犬」という設定がコミカル*1。ときに感情移入しながら、ときに微笑ましく見守りながら、付かず離れずの距離感で物語を味わえる。それから、宮部の長編デビュー作とのことで「っぽいなぁ」と思う箇所が結構――個人的な基準では、カッコ可愛い少年や最強に渋まったオッサンが登場したり中盤からトンデモな展開になったりするあたりが宮部調なのだ*2

*1:それにしても、この手の小説で活躍する動物はどうして皆こういう性格なんだろう。何というか、一人称「我輩」が似合う感じ(実際には「俺」や「私」だとしても)。やっぱり漱石の影響だろうか。

*2:とはいえ、これまで読んだ宮部作品の中ではこの条件に当てはまらない火車が一番好きなのだけれど。