大平健「診療室にきた赤ずきん」(新潮文庫)*7

精神科医によるノンフィクション16編。「赤ずきん」や「ももたろう」といった童話を巧みに使って次々と現れる患者を治療していく、というストーリー。患者自身が自分を取り巻く複雑な状況を理解するための手助けとして子供向けの物語が非常に役立つらしい。「なーんだ、わたしは赤ずきんだったのね!」という感じ。穿った見方をすれば一種の暗示なのかもしれないけれど、自分自身を表現するような物語の存在が心の支えになるというのは理解できる。たとえ医師の世話になるような状態でなくとも「自分の物語」を探してみると良いかもしれない。
――で、私の物語は……これかな。しゃっくり百万べん (創作こどもクラブ)