創作とは/物語とは

物語とは、地から湧き出る泉のようなものだ。汲まなくても、そこにある。しかし、汲めば飲むことができる。あるいは、ヒトの贅肉のようなものだ。生きていく上では必要ない。しかし、増えすぎれば病気になってしまう。増えすぎないよう、溜まってきたら切り取ってやらなければならない。溜まったから切り取る――素人の創作を一言にすると、これである*1。それでは、プロの創作とは何なんだろう。肉を鋭く切り取る技量なんだろうか。それとも、まだ溜まっていない肉を搾り出す腕力なんだろうか。少なくとも、無尽蔵に脂肪の湧き出す体質のことじゃないと思う。

*1:若者はしばしば創作を「欠落を埋めるため」と表現するけれど、これも間違いじゃない。欠落と贅肉は表裏なのだ。ヒトにとって欠落そのものが「生きていく上で必要ないもの」であり、欠落の補填は贅肉の切除と同義である。そして、欠落は埋めても埋めても綻びる。贅肉は落としても落としても湧いてくる。