Re: かくということ

……打ちのめされました。うわ、あざといなっ、と思いつつも、こういう衝撃にすごく弱い。考えてみると、話し手/聞き手、書き手/読み手の他にも、弾き手/聴き手、作る人/食う人、ホームズ/ワトソン、正義ヒーロー/悪の秘密結社など、相手の存在を意識した途端に言い様のない慈しみと敬いの情が湧いてきて、相手を何者にも代え難いと思い、それによって自分の存在そのものがより明確になるような二者関係は沢山ある。

 微かに頬を赤らめて、少女は自分の足元に視線を落とした。
「ボケるわたしが、ここにいます」
 彼女は俯いたまま、僕のシャツの裾のすれすれまで手を差し出して――
「ツッコんでくれるあなたが、そこにいて良かった」