そのメールが相手の怒りを招く : IT Pro 記者の眼

挙げられている例だと、私としては改善後の「お忙しいとは思いますが,明日までに分かりやすく書き直していただけると(私は)助かります」よりも改善前の「明日までに,分かりやすく書き直してください」の方がはるかに相手に配慮しつつ、言いたいことを伝えるメールになっていると思うのだけれど……やっぱり少数派なのだろうか、こういう感覚は。自分を主語ににした文章は、反論を許さない空気を纏っていて押し付けがましい。「助かります」と書かれたら「いえ、この箇所には――という理由で専門用語が必要なのです」などとは返せないし……や、結局は「書き直せ」という命令なのだから反論の余地などないに越したことはないのかもしれないけれど。
私なら、具体的に書き直してほしい箇所とその理由を例示する(し、そうしてほしいと思う)。「例えば4ページ下段、敵対的買収の文脈で使われている経済用語の『支配』は、日常語にも同じ単語が存在するため顧客の誤解を招く恐れがあります。そのほかいくつかの専門用語についても考慮のうえ、明日までに改稿をお願いします」――と書いておけば、相手はこちらの意を汲んで「支配」とそれに準ずる用語を書き換えるなり注釈を加えるなりしてくれる。具体例ならば反論や説明の余地もあるし、仕事全体や人格そのものを否定されたとは感じないはず……もしかして、一般的な感覚としてはこちらの方が高圧的なのかなー。「赤ペン先生じゃないんだから、添削なんて要らないんだよコノヤロウ」とか。