プロダクトデザインのこと:廣田尚子のティーバッグと深澤直人のティーバッグ

廣田版*1は、紐の先に付いている取っ手の部分が大きな円盤型になっており、これでカップに蓋をすることができるというもの。深澤版*2は、葉袋の部分が人型になっており、操り人形のように動かして遊ぶことができるというもの。「紅茶は蒸らされるべきだ」という問題意識に基づいた廣田のデザインに対して、深澤のデザインは「実際にティーバッグは湯の中で揺らされている」という経験を起点としている。両者を比較して、道具として発展性があるのは廣田版かもしれないけれど、商品として力があるのは良くも悪くも深澤版の方だ。仮に「多くのティーバッグユーザーが専用の蓋を用意して紅茶を蒸らしている(または、蒸らしたいと考えている)」という現実があったのなら、廣田版は画期的なソリューションになったはずだけれど。
……深澤さんのファンだからこういう印象を持ってしまうのだろうか。

*1:2004年11月19日放送「ニューデザインパラダイス」(CX)

*2:2004年12月17日放送「プロフェッショナル・仕事の流儀」(NHK