光原百合「十八の夏」(双葉文庫)*7

花をモチーフにした短編ミステリ4編。登場人物はいかにも「小説らしい」背景を抱えた老若男女ばかり。柔らかな視点で描かれるストーリーは悲劇でも喜劇でもなく、優しい余韻が心に染みる。ミステリとしても抜かりはなく、種明かしの段になって「ああ、あれが伏線だったのか!」となることもしばしば。
蛇足ながら――表題作の紅美子さんも「ささやかな奇跡」の明日香さんも「兄貴の純情」の兄貴も「イノセント・デイズ」の史香さんも、みんなみんな素敵でした。